繰越金

山崎

2009年04月03日 19:48

 繰越金は、前年度収支における黒字分を当該年度予算に計上して、歳入として活用するものです。実質収支という言い方もしますが、最終予算で安全を見ていた分が、決算との対比で、収入増と歳出不用残となり、繰越金として次年度に繰り越して使用されることになるわけです。

 地方財政においては、借金も収入になりますから、繰越金が多いからといって、健全財政とは限らないということに注意が必要です。もっとも、決算収支が赤字になるというのは論外で、借金によっても埋められない赤字を抱えているということになります。この場合には、繰上充用といって、繰越金と逆で、翌年度の収入を使うことになります。

 決算における赤字を、翌年度の収入で賄った場合、いわゆる自転車操業ですから、赤字を早急に解消しなければならないことになります。これを一時借入金で賄うという形で、ごまかしていたのが、夕張市の破綻の一因ではないかと言われています。一時借入金は、借金ですが、予算における収入にはなりません。同じ借金でも、起債と一時借入金は、全く異なるものです。

 繰越金をどの程度確保するのかは、財政運営のテクニック上の問題だと考えるべきかも知れません。本来、財政指標は、テクニックの余地を残さず、事実のみが表されるべきですが、そんなに単純ではないので注意が必要です。

 繰越金の予算について、浜松市の場合は、当初予算で、一定額を予算計上しておき、それを上回る額について、補正予算等の財源として活用するという方法を取っています。例えば、一般会計の繰越金は、平成18,19年度の当初予算計上額は40億円ですが、平成18年度決算では、117億円、平成19年度決算では、102億円となっています。地方財政上の判断としては、比較的健全だと言えると思います。

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