「国及び地方の長期債務残高」という資料が、国の予算案とともに発表されます。これによると、平成20年度末の国・地方合計は、
778兆円程度となっています。対GDP比で147.6%ということですから、非常に大きな額ですが、
国の借金総額は、800兆円を超えているという認識を持っている方々には、少々違和感があるのではないでしょうか。(我が国の財政事情(5)国及び地方の長期債務残高)
http://www.mof.go.jp/seifuan20/yosan005.pdf
よく見ると(注)3で、「このほか20年度末の
財政投融資特別会計国債残高は133兆円程度。」となっています。この点については、財務省のホームページで別途説明があります。、利払・償還財源が
主として税財源により賄われる債務でないので、外しているという説明です。
http://www.mof.go.jp/gbb/1909hosoku.pdf
「
財投債は、特殊法人に融資するために、財政融資資金特別会計が国の信用で発行する国債」だとすると、特殊法人が返すとは言え、地方の財政健全化法で、債務の範囲を広げて健全性を検証しようとする国の説明としては、少々気になります。
「国及び地方の長期債務残高」については、もう1つ興味深い点があります。国の債務残高は、平成18年度末、19年度末、20年度末と着実に増加しているのに対して、地方の債務残高は、19年度末、20年度末と、少しですが、減少しています。今後の財政運営にかかっていると思いますが、興味深い点です。
財務省と自治省の地方財政折衝においては、国の財政の方が大変だという主張がなされると聞きますが、努力して改善したら、そちらの方が業績が良いから協力せよと迫られるのは、本社と関連会社との関係に似ているような気がします。
そういえば、平成の初め、大幅な税収増があった頃、国は、法人税の4月分を前年度収入とするという特例措置をそのままにしたまま、歳出増に邁進したのに対し、地方自治体は、交付税特別会計の借金を返済したり、特例債の償還のための基金を積んだりして、財政健全化の努力をしたという記憶があります。
国の借金は、60年償還なのに対し、地方の借金は、30年償還とされています。返済期限が来た時に、きちんと返済できるのかどうか心配ですが、その時には、地方が先に直面します。借金返済の繰り延べ措置そのものは、見えにくいですから、議会を始めとした市民の監視が非常に重要だと思います。ただし、取り返しのつかない段階になってしまうと、誰も本当のところが見えなくなってしまいますので、早目の対応が欠かせません。