去る7月17日に、平成19年度浜松市決算(速報値)が、報道発表されました。内容は、
実質収支が
61億円の黒字、
財政指標から見た財政状況は
健全、
プライマリーバランスは
138億円の黒字などとされております。
田口市議のブログでも、概ね評価されているようです。
実質収支については、
既にご説明しているように、
黒字にすることが財政運営の基本です。支出と収入の差で、しかも収入には
市債とか
地方交付税などが入っていますから、いかに的確に見込むかの問題で、金額の多寡はあまり評価の対象にはならないと思われます。ちなみに、市債は210億円発行していますし、普通交付税は合併算定替により80億円程度かさ上げされ、152億円となっています。
財政指標については、財政健全化法による健全化判断にかかる4つの指標を前倒しして公表しています。いずれも
早期健全化基準より大幅に低い値とされていますが、これは、まともな財政運営をしていれば当然のことと言えるものです。全国の地方自治体が公表した時に比較する必要があります。この点では、
経常収支比率(83.6%→86.4%)や起債制限比率(11.7%→11.9%)が悪化していることに注意が必要だと思います。なお、財政指標は、
普通会計という国が定める全国一律の統計によって決められるものであるため、今の段階では、あくまでも速報値となっています。
市債の残高については、
一般会計で100億円削減し、3,000億円を切っているのに、
企業会計では、27億円の削減に留まり、2,376億円の残高で、一般会計の残高と逆転する恐れを感じます。病院事業、水道事業、下水道事業といった企業会計の市債残高に注意する必要があります。また、土地開発公社や建設公社、フラワー・フルーツ公社などの借入金についても、実質的には浜松市が負担せざるを得ないもので、新しい
将来負担比率という指標では対象になっており、注意が必要です。
今回の決算速報で注目すべき点として、
規模の増加という点があります。政令指定都市になって、
国・県道の整備が浜松市の仕事とされ、それに伴う事業費が100億円以上増加しています。それにもかかわらず、一般会計の市債残高が減っているということは大変なことです。なお、特別会計の規模も増加していますが、
公債管理特別会計を新設したことによるものが主で、こちらは、実質的な増加ではありません。
将来にツケを残さないという方針での財政運営としては、現行の仕組みの中で、できる限りの努力をしていますが、過去のさまざまな負債は、まだまだ
解消途上というところだと思います。一方、
将来に向けた投資は、着実に実施していく必要があり、削減・縮小ばかりではいけないと思います。
日本国政府が多額の借金を抱え、厳しい財政環境に置かれている中で、難しい財政運営を続けていかなければなりません。