数ある財政分析の指標の中でも、財政力指数というのは最もよく使われる指標だと思います。基準財政収入額を基準財政需要額で割った数字の3年平均というのが、その定義ですが、具体的に用語として用いられているのは、特別交付税の省令の中です。特別交付税に関する省令第2条では、「財政力指数 (当該年度前3年度内の各年度の別に基準財政収入額を基準財政需要額で除して得た数を合算した数を3で除して得た数をいう。以下同じ。) 」と書かれています。
さて、この財政力指数ですが、基準財政需要額-基準財政収入額=普通交付税額ですから、基準財政収入額が基準財政需要額を超えた場合、財政力指数は1.0を超えることになります。つまり、財政力指数が1.0を超えると普通交付税が交付されなくなります。こういう自治体を不交付団体と言い、財政が豊かである象徴とされています。
専門的に言うと、普通交付税の交付に当たっては、その総額は決められているため、自治体毎に計算した普通交付税の総額が普通交付税予算額よりも多くなってしまう場合があります。この場合、計算された基準財政需要額に調整率を掛けて調整します。そこで財政力指数が1.0を超えていなくても、不交付団体になるという不幸なことが起こる場合があります。こういう場合を調整不交付と呼んでいます。
浜松市の財政力指数ですが、平成18年度は、0.89です。平成16、17、18のそれぞれの年度の数字を単純平均した数字です。平成18年度単年度ですと、基準財政需要額1,202億円、基準財政収入額1,128億円ですから、0.94になります。この場合の普通交付税は74億円ですが、合併算定替で159億円になっていることは、既にお知らせしたとおりです。
財政力指数について、特別交付税に関する省令で使われていると言いましたが、これは、財政力指数の高いところに対して、特別交付税の交付額を減らすために用いる指標だからです。
財政力指数が高いとか、普通交付税不交付団体だとか、持ち上げられるのはいいのですが、いい気になっていると大変なことになります。もちろん、税収が増えて、基準財政収入額が増えての話なら、まだいいのですが、基準財政需要額を減らされてしまうと、苦しくなるのです。「交付税措置をする」というのは、基準財政需要額の計算基礎とするということですが、限られた交付税の配分方法を変えるだけのことですから、別の部分が減らされるだけです。しかも、交付税は、自由に使える一般財源なのです。それなのに、その使い道を国が決めているという、何とも不思議な仕組みです。